タイトル通り、鬼滅の刃21巻を購入して読んだので、感想を書いていきたいと思います。
ジャンプ本誌の、この先の展開まではこの記事でネタバレはしないつもりですが、この21巻のネタバレは含むので、一応ご注意ください。
感想は目次の02からになります。
あらゆるランキング1位
ジャンプ本誌ではもう完結したのですが、それでも相変わらず凄まじい人気です。
その人気が少々疑問に感じてもいましたが、もはや私的には物凄く納得できています。
恐らくアニメが人気になるきっかけの一つになったのではないかと思うのですが(アニメのクオリティーが凄まじいとか声優陣も凄すぎてたった1話しか出ない脇役の鬼役ですら大御所声優を使うとか、話題性も十分)、
それでも異常な程、ワンピースを超える売り上げを記録したと聞いています。
早速こういうコミックスのランキングでは1位になっていました。
正直、こんなことを書くと非常に失礼なことであるのを承知の上で書きますが、
一時は打ち切り候補に上がりそうとすら思っていました。
もちろん今では考えられないですが、連載した当初~序盤ぐらいまでの話です。
「家族を殺された元凶を倒すために修行し、鬼を討つ」
鬼滅の刃のあらすじを一言で書くと大体こうなると思いますが、
これだけを書くと非常にありふれた話でもあります。
でも各種呼吸の技や鬼側の血鬼術などを始めとした、バトルものとしても王道ながら全世代に受け入れられそうな設定です。
バトルに関して言えば、鬼側が圧倒的に有利で人間側が絶望的に不利な状況で戦うわけです。
例えば鬼は頚(首)を斬られるか日光に当たらない限り不死、20巻感想でも描きましたがスタミナも無尽蔵。
それに対して人間側はちょっとした負傷で動けなくなる、スタミナの問題で継戦能力(呼吸でそれを伸ばしても無限ではない)がない、頚だけでなく出血多量とかでも死にますし、腕などを斬られるだけで再生もできず(人間だから当たり前ですが)に戦闘能力が極端に落ちるなど、
普通にやったらまず人間側に勝ち目がない圧倒的不利な状況でも、それでも呼吸や戦術を駆使し、互角以上に戦うなど、
読んでいて人間側の強さを改めて圧倒されつつ読むこともできます。
他にも魅力を挙げ続けるとキリがないですが、
とにかく敵も味方もキャラクターが魅力的過ぎる。
上記家族を殺した元凶である種族、鬼ですら鬼になる前は人間だった。
その鬼側の事情も描くことで鬼側にすら感情移入させる。
鬼も悲しい存在であることをこれでもかというぐらい描くのが切なくもあり、
そして上記主人公の仇である「無惨」、後述しますが彼の正真正銘のクズっぷりも合わせて、
良くも悪くもキャラクターが魅力的と言えます(^_^;)
もはや人気の理由が明白で心の底から面白いと思えた作品なので、
私が魅力を今更事細かに書くまでもなく、本作の魅力が分かる人は世界中にいらっしゃると思いますw
なのでここでは改めてその人気の凄まじさとその理由を私なりにちょっとだけ書いたことで、この項目はおわりますw
感想。全ての元凶、鬼舞辻無惨1 戦闘能力
ついにこの21巻で正真正銘のラスボス、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)が動き出します。
髪が長くなって白髪になり(後にその白髪も理由があってそうなったことがわかりますが)、
体中に赤黒い――血管のようなものが浮かび、手足など体のあらゆる場所に口のようなものがつき、
モブ鬼殺隊士を一振りで薙ぎ払って首を斬り、その手に付いた口で即捕食するという異形な姿になって復活します。
しかも一瞬で数十人以上? の鬼殺隊士を一瞬で上記方法で殺して食うなど、再登場のインパクトもラスボスに相応しいですね💦
しかも絶望的な理由その1としては、日光以外では唯一鬼を殺せる弱点、頚を斬っても死なないどころか、
斬った瞬間に再生されるから斬れない(ように見えるし実質斬れていないのと同義)のです。
つまりどれだけ攻撃しても無意味ですから、鬼殺隊は日光で無惨を倒すことを目的とし、
直接倒すよりも日光が射す夜明けまで無惨を留まらせることに尽力して戦うことになります。
つまり時間稼ぎが主な目的ですが、その時間稼ぎすら絶望的です。
無惨の攻撃は血鬼術ではなく、その異形さから来る自らの部位で攻撃するというゴリ押し戦法です。
しかもその腕から伸びる……管? 鋭利な鎌のようなものが無数についている強靭で長い腕を、自在に伸縮させて触手のように振り回し、それだけで相手をほぼ確殺するのです。
それだけで一般鬼殺隊士をを上記のようにあっさり殺害しまくりましたが、
炭治郎や柱を相手にする時は流石に手こずるようですが、
ここから真の絶望的な事実、絶望的な理由その2を、鬼殺隊と我々読者は無惨から知らされます。
炭治郎が無惨と再び対峙し、戦闘を初めてすぐの頃、
油断から上記腕の一撃が炭治郎の右目に当たり、右目を潰されます。
残りの左目だけでも炭治郎は戦い続けるのですが、突然炭治郎は苦しみだし、吐血して倒れます。
無惨
「即死できた者は幸運だ。即死ができなくとも、私に傷をつけられた者は終わる。あれを見るがいい」
そう言われて共に戦っていた柱達は、炭治郎がいる方向を見ます。
そこには潰された右目からグロテスクな……血管? 細胞? のようなものが走り、残りの目を見開いて口を開き、首を抑えながら苦悶の表情で倒れて動かない炭治郎がいました。
無惨
「私は攻撃に私自身の地を混ぜる。鬼にはしない。大量の血だ。猛毒と同じ細胞を破壊して死に至らしめる。竈門炭治郎は死んだ」
要するに、その無数の刃物だらけの物騒な触手兼腕には猛毒があり、その攻撃がかすっただけでも猛毒に侵されて死亡するというわけですね。
うん、無理ゲ―ですねwww
こちらの攻撃は効かなくて無傷(一瞬で頚すら再生される)なのに、逆に相手からの攻撃はちょっとでもかするだけでもう死亡。
ワンパンマンのようにギャグのようにその一撃死が描かれるならともかく(しかも味方側だし)、
普通に真面目な話でラスボスがそれをやってきたら、もう絶望どころじゃないというかどうしようもないのですが(^_^;)
鬼畜難易度と言われるゲームの『ダクソ(ダークソウル)』だってもう少しマシな難易度なのに、
やはり「どうあがいても絶望」ですね💦
その無惨相手に夜明けまでどう時間稼ぎするのか、人間と鬼(無惨)とで不公平にも程がある戦いなのですが、
それでも人間の底力、ここからどう乗り切るのか、
結末を知っている私でも、絶望であるが故にここからどう打開するのかが楽しみで仕方ない展開です♪
感想。全ての元凶、鬼舞辻無惨2 サイコ●ス
戦闘能力は上記の通りもちろんですが、
無惨をより残酷に、よりラスボスらしくさせているのが、その性格です。
炭治郎と義勇さんと対峙した時の無惨の台詞からも物語っています。
元凶である無惨と対峙し、それだけで怒りが爆発しそうになっている炭治郎に対し、
無惨
「しつこい」
この言葉だけでも相当ですが……
無惨
「お前たちは本当にしつこい。飽き飽きする。心底うんざりした。口を開けば親の仇子の仇兄弟の仇と馬鹿の一つ覚え。お前たちは生き残ったのだからそれで充分だろう」
その無惨に禰豆子以外の親兄弟妹を無残(恐らくそういう韻を踏んだネーミングでもあるのか?)に殺害された炭治郎に対してこう言うのです。
無惨
「身内が殺されたから何だと言うのか。自分は幸運だったと思い元の生活を続ければ済むこと」
炭治郎
「お前何を言ってるんだ?」
無残
「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え。何も難しく考える必要はない。雨が風が山の噴火が大地の揺れがどれだけ人を殺そうとも天変地異に復讐しようという者はいない」
上記炭治郎の台詞は怒りももちろんですが、呆然としているような表情にも近いです。
心の底から何を言っているかよく分からないと言った感じの……
無残
「死んだ人間が生き返ることはないのだ。いつまでもそんなことに拘っていないで、日銭を稼いで静かに暮らせば良いだろう。殆どの人間がそうしている。何故お前たちはそうしない? 理由は一つ。鬼狩りは異常者の集まりだからだ。異常者の相手は疲れた。いい加減終わりにしたいのは私の方だ」
炭治郎
「無惨。お前は、存在してはいけない生き物だ」
繰り返しますが、その無惨に禰豆子以外の親兄弟妹を殺害されている炭治郎に対して上記台詞を吐くのです。
↑の炭治郎の最後の台詞は、瞳から光が消え、怒りや殺意を通り越して心の底から嫌悪というか気持ち悪いものを見るような目で、冷たくそう言い放ちます。
まず異常者に「異常者」と言われて「お前が言うな」とか「どの口が言ってんだ」というツッコミをしたくなるのは序の口です。
自分が自然の猛威、天変地異と同じだと思っていることへの傲慢性、おこがましさ。
自分を天変地異に例えるなら、だったらもしその天変地異を意図的に起こしている者がいて、その者が悪意あって遊びのような感覚で天変地異を起こしていたと知ったらその遺族を始めとする人類はどう思うか?
そういうツッコミもあります。
そして極めつけは、炭治郎が心の底から腹の底まで厭悪が渦を巻いて冷たい気持ちになった理由を理解していない。
上記やり取りを要約すると「え? あなたの家族が私に殺された? あっそ、だから何? あなたは私に殺されなかっただけ幸運でしょ」みたいなことを言うのと同義です。
こういう人間を、この作中の大正時代ではこの名前がまだありませんでしたが、今現在で言うならば、
「サイコパス」と言います。
つまり強い上にサイコパスなのです。
正真正銘のクズっぷりで下衆っぷり。
その圧倒的で絶望的な戦闘能力も含め、まさに心身ともにラスボスに相応しいとも言えます。
別の作品で言うなら『ブラッククローバー』のダークトライアドみたいな感じですか。
ダークトライアドの面々を見た時も思いましたが、無惨に対しても同じく、私も嫌悪感で反吐が出そうです。
最近はラスボスすら訳ありで止む無く人を襲ったような事情が多いのですが、こういう心の底から嫌悪感しか持たれないラスボスも逆に新鮮かもしれません。
わざと読者からのヘイトを集めさせることが目的だと分かっていても、ここまで完全な下衆を描くのも中々難しいはずなのに、良くも悪くも読者真理を捉えていると言えますね(^_^;)
それ故に、そのラスボスを倒す展開を期待するわけですが、上記戦闘能力もあり、絶望的です。
その無惨を完膚なきまでに倒せる状況を期待しつつ、最終巻まで私は買い続けます♪
感想。始まりの呼吸の剣士、継国縁壱
上記無惨の猛毒にやられた炭治郎の意識下では、再び炭治郎の先祖、炭吉の遺伝する記憶を見ることになります。
それにより、当時の炭治郎の先祖と、始まりの呼吸の剣士、継国縁壱(つぎくによりいち)との会話を、
炭吉と意識を共有する炭治郎も一緒に見ることになります。
そこで縁壱自身に起きた出来事を、彼は「誰かに話を聞いて欲しかった。随分考えて、思い浮かんだのがお前(炭吉)とすやこ(炭吉の妻)の顔だった」と言い、話し始めます。
それは縁壱の生い立ちから始まります。
信心深い家庭に生まれ育ち、忌み子と(父親に)嫌われても、
母親と、20巻で語られた兄、厳勝(みちかつ)の優しさのおかげで救われていたことが分かります。
その後、出家するために家を出ることになっていた縁壱でしたが、
寺へは行かずに「どこまでも続く美しい空の下を思い切り走ってみたかった」という理由で疲労を全く感じずに一昼夜走り続けたのでした。
20巻でも語られていたように、本作きってのチート能力の片鱗を子供時代から見せていたわけですね(^_^;)
その後、走り続けた先の田んぼで「うた」という少女と出会います。
田んぼに桶をもったまま動かない様子に縁壱が何をしているのか問うと、
うた
「流行り病で家族みんな死んじまった。一人きりになって寂しいから田んぼにいるおたまじゃくしを連れて帰ろうと思って」
しかし日が暮れると少女はおたまじゃくしを入れていた桶から田んぼに逃がしました。
縁壱
「連れて帰らないのか?」
うた
「うん…親兄弟と引き離されるこの子たちが可哀想じゃ」
縁壱
「じゃあ俺が一緒に家へ帰ろう」
うた
「えっ?」
孤独故のシンパシーもあったのか、縁壱とうたは一緒に暮らすようになり、意気投合して10年後には夫婦となっていました。
しかし、彼女の臨月が近づき、縁壱が産婆を呼びに行っている間に、うたは鬼によってお腹の子供諸共殺害されていました。
縁壱は炭吉(と意識を共有している炭治郎)に語ります。
縁壱
「自分が命より大切に思っているものでも、他人は容易く踏みつけにできるのだ」
その後、それをきっかけとして鬼狩り(後の鬼殺隊)に入り、当時の隊士に呼吸を教えて戦力増強に繋げていました。
兄の厳勝もこの頃に鬼狩りに加わりました。
そしてついに鬼の始祖、無惨と縁壱が出会うことになります。
しかし、上記のように無惨の攻撃はかすっただけで死亡するという絶望的な状況なのに、
かすりもせずに無惨の攻撃をかわし、それどころか圧倒的速度の赫刀で無惨を切り刻みます。
ちなみに上記赫刀は「しゃくとう」とコミックスではふりがなが振られていました。
ある方法によって刃を赤くさせて鬼への威力増強と鬼の再生能力を阻害する効果があるようです。
しかし続きのジャンプ本誌では「かくとう」とふりがなが振ってありましたが、どっちの読みが正しいのでしょう?
と、そういう疑問は置いといて、上記絶望的な無惨に対して切り刻んで無惨にしりもちをつかせ、
紆余曲折を経て無惨は自身の肉体を細かく弾けさせて肉片となり、逃亡します。
またもや繰り返しますが、上記絶望的な戦闘能力を持つ無惨を圧倒的に追い詰め、その逃亡方法がなければ確実に無惨が死んでいたのです。
やはり前巻から語られていたように、チートw
ですがこの項目で語りたかったのは縁壱のチート能力もそうですが、縁壱も感情が人並みにある、紛れもなく人間だということです。
うたを殺害されたこと、
無惨をみすみす取り逃がしてしまったこと、
無惨が連れていた鬼、珠世を逃がしたこと(炭治郎と協力して鬼の血を集め、無惨に人化薬を飲ませた鬼と同一人物。このことがきっかけで珠世は無惨を倒す方法を何百年間も模索し続けていたようです)、
20巻で語られたように兄である厳勝が鬼になってしまったこと、
それにより責任を追及されたことで結果的に鬼狩りを追放されたこと、
それら苦しい胸の内を炭吉に語りました。
縁壱
「私は恐らく鬼舞辻無惨を倒す為に特別強く造られて生まれて来たのだと思う。しかし私はしくじった。結局しくじってしまったのだ。私がしくじったせいでこれからもまた多くの人の命が奪われる。心苦しい」
生まれながらのチートで、周りから見たら異質で、表情も乏しい縁壱ですが。
やはり20巻で語られたように兄である厳勝は、そんな縁壱に嫉妬に打ち震えて、無表情が多い彼を気味悪がってもいました。
しかし、戦国コソコソ話というおまけページで書いてありましたが、
「感情をあまり顔に出さないというだけで、縁壱の感覚や情緒面はなどは炭吉が感じたように素直で素朴そのものでした――中略――大声で笑ってなければ楽しいと思っていないわけではありませんし、大声で泣き喚いていない人は悲しい気持ちになっていないわけではないのです」
まさにこの文章が縁壱を表しているのでしょう。
厳勝を嫉妬と憎悪に走らせ、無惨をチート能力で追い詰めた最強剣士でも、
その心はどこにでもいる人間と同じ。
最強剣士だからと言って、傷つかないわけではないし、傷つかないわけがないのです。
何故なら人間だから。
縁壱は、今までは厳勝と、ほんの少しの今回のような遺伝の記憶で見た炭吉の視点でしか語られていませんでした。
それ故に厳勝だけでなく、そのチート能力故に読者からもちょっと奇異というか、他のキャラクターとは別格で異質のような目で見られていたと思います。
少なくとも私はそうです。
それが、今回初めて縁壱視点で描かれたことで、
縁壱も他の人間と変わらない。
表情が乏しいだけで喜怒哀楽はちゃんとあるし、今回のように落ち込みも傷つきもする。
そういう人間性を知れて、前巻の厳勝同様、とても身近に感じることが出来て心から良かったと思います。
その縁壱の会話をヒントに、無惨攻略の糸口を炭治郎は果たして掴めるのか……
やはり、本作はキャラクターの掘り下げ、そのキャラクター視点になって語られる過去を始めとする描写が秀逸過ぎて感動しまくりますね♪